上越子育て情報コラム

産後クライシスってご存じですか?
出産後数年の間に急激に夫婦仲が悪化する現象のことです。出産前までラブラブな関係であっても、残念ながら出産後は相手に対する愛情は夫婦ともに低下してしまうという調査結果もあり、特に妻の夫への愛情低下は急激です。
そして多くの夫たちは産後クライシスが起きていることに気が付かずにいるのが、特徴でもあります。そのままにしておけば家庭崩壊を招いてしまうかもしれません。
ちょっと心配になったあなたへ、チェックリスト
- 自分は家事育児を積極的に手伝うほうだ
- 妻の母性本能を尊敬している
- 妻に有益なアドバイスをするように心掛けている
- 妻がこども優先で、夫である自分が後回しになってもかまわない
- 家事が出産以前より手抜きなのは仕方がないと思う
いくつチェックが入りましたか?
もし一つでもチェックが付いていたらレッドゾーンにいるのに気が付かない状態かもしれません。
解説と対処法についてお話します。
「手伝う」は禁句
子育ては妻にとっても覚悟していた以上に大変なものです。我が子はあなたとママがいたから生まれた大切な存在。あなたが、妻と共に育て共に家事を担っていくという姿勢を見せ続けることで妻は安心します。「手伝う」とか「協力する」とか、当事者であるという自覚に乏しい発言は妻を悲しくさせます。
母性本能ではなく「親性脳」
かつて女性には子育てをする本能があると考えられてきました。ですが近年、男性も女性も育児経験をする中で徐々に「親性脳」が形成されていくのだという研究結果が発表されています。つまりママもパパも子どもが生まれた時点ではどちらも親として初心者。子どものそばにいて日々のお世話をする中で親となっていくのは同じなのです。あなたにとって妻が「すごいなあ」と尊敬に値する状態だということは、子どものそばにいる時間が妻のほうが長いため早く「親性」が育っているということになります。つまりあなたが育児にコミットできていない恐れがあり、妻が辛く感じているかもしれません。
「アドバイス」は危険
アドバイスって「あなたのやり方はいまひとつだからもっとこうしたらいい」というメッセージでもあります。もっといい方法があるという善意からであっても、妻には自分を否定されたという思いだけ残る危険があります。絶対的NG行為は「僕の母は」から始まるアドバイス。妻が求めているのは助言や忠告ではなく感謝やいたわりの言葉です。心に思っていても言葉にして伝えないと伝わりません。
「世話される対象」でいては邪魔なだけ
恋人同士のときや新婚のときは妻にも余裕があり、もしかしたらとっても優しくお世話してくれたかもしれません。けれど赤ちゃんが生まれたら、パパはともに子育てをする「同志」であってほしいのです。お世話してもらうのを我慢してるからね、という気持ちでいる「大きな長男」はいらないと妻に思われているかもしれません。
家事は共にやるもの
ここにチェックがついていたらとても危険。気が付かないうちに産後クライシスの渦中にいるかもしれません。
たとえ妻が専業主婦であったとしても、大人は自分のことは自分でできるのが当たり前。まして共に働いていこうという家庭ならば、家事分担は必須です。夫妻どちらかが育休中であっても、です。あなたがもし「ママがやるのが当然」と考えていれば、妻は失望するばかりです。
まずできることから始めましょう!家事に不慣れで何をどうしていいかわからないレベルだとしたら、まずは自分のことは自分でからTRY。食べた食器を下げる。脱いだものは片付ける。自分のものを出しっぱなしにしないことから初めてみましょう。
さて、ちょっと心配かも…とここまで読んでいただいた皆様ありがとうございます。妻と自分は大丈夫かなと心配する気持ちからのことと思います。
実はそれがとても重要なポイントです。
「もしかして妻が辛いと感じていないかな?」「妻と本当に気持ちが通じているのかな?」
そう思う気持ちを忘れず、「夫と妻」という関係に新たに加わった「父と母」という役割に二人で慣れていこうとし続けていたら、きっと、クライシスの心配はありません。
編集者プロフィール
中條美奈子
認定NPO法人マミーズ・ネット理事長。子育てひろば全国連絡協議会理事。子育て支援歴は30年以上。現在は、子育て支援者の人材育成や講演、コンサルティング等で全国を飛び回って活動しています。